白根光夫「今昔物語 第十九巻より」

100号F・1983

From the 19 th volume of the story of the past and present

 

源太夫という荒くれ者が、鹿狩りの帰途に出会った法師から、阿弥陀仏の御心の広さを説かれ、ただちに発心を起こして髪を切って出家。ひたすら西を目指して

「阿弥陀仏よや、おいおい」と呼びながら、険路をいとわず山々を超えて、ついに海辺の松に至り、海より「ここにあり」と応える阿弥陀仏の声を感得し、自らは一輪の蓮の花を口から咲かせて成仏した、という物語。

白根光夫は、かねてより仏画の「山越え阿弥陀」に傾倒し、この世のほかとしか思えないほどの美が「ここにあり」と出現する瞬間を表現したかったのではなかろうか。

 

 

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